子育てメッセージ

  「 ファンタジーこそ論理的  」【2017.8月】

栄光学園 理事長 太田 春夫

 

 2017年度も1学期が終わろうとしています。初めてこども園に入ってきたこどもたちも、一つ大きくなり進級したこどもたちも、「今」という掛け替えのない大切な日々、大切な「時」を一生懸命に生きています。こどもたちは新しく出会い、友だちになった仲間とさまざまな遊びを通してその生活を広げていきます。

同時に、日々の絵本の読み聞かせの時間や礼拝の時間は、こどもたちが心を静めて一人一人の想像力を豊かにする大切な時です。想像力は創造力に繋がると言われます。その想像力を育み養うのに、絵本や児童文学は最良の友と言えるのではないでしょうか。

かつて私が何度もお話しを伺った福音館書店元会長の松居直先生は、その著書のなかで、ある方の児童文学論を引用しています。孫引きになりますが、ご紹介させて頂きます。

「――独創的な想像力というものは、ただ、たんにものごとを考案する才があるということではない。抽象の世界から、いのちを創り出す、あの力なのである。それは見えざるもののおくそこまではいりこみ、凡人にはのぞき得ない、神秘な場所にかくされているものを、光のさすところにとりだし、凡人たちにもはっきり――あるいはある程度――理解できるようにみせてくれるものである。おそらく、詩人をのぞいて、ファンタジーの作家ほど、他のどの部門の作家にもまして、表現しがたいものとたたかわなければならない人たちはいないだろう。かれらは、それぞれ能力に応じて、テーマとなるアイデアを心によびおこし、それに象徴や比喩や夢の衣をきせることができるのである。――」

松居先生は、ファンタジーは優れて論理的な思考と構成力によって生み出されるとも話してくださいました。実在しない世界を実在するかの如くに、寸分の違いなく描き出す世界だからです。

そして、多くの絵本がファンタジーでもあります。なぜなら、動物や虫たちがお話しする世界だからです。その絵本の世界に、親しいお母さんやお父さんの肉声によって、ぬくもりの中で読み聞かせをしてもらうことは、こどもたちにとって、掛け替えのない大切な「時」と言えるでしょう。

 

   自然の中での時間【2017.7月】

認定こども園オリーブの木 主幹保育教諭     白石 実弥

 

 いま、オリーブの木の園庭のあちこちで子どもたちは虫探しに夢中になっています。園庭の「むしとりはらっぱ」や石のかげ、土の中、すのこの下など、どこにいるのかなと様々な場所を考えながら探しています。園でよく見つけることのできる生き物はダンゴムシ、アリ、ミミズ、ゾウリムシ、そしてちょっとやっかいなケムシなどなど・・・。

 ところでよく見かけるこの身近な生き物をどのぐらい知っているでしょうか?ミミズを子どもたちと見つけると絵本の『ポットくんとミミズくん』(かがくのとも)が浮かびます。その絵本の中には、ミミズくんがおいしいものを見つけたら、土ごと食べてしまうこと、頭の先にあるのが口であること、1分間で自分の体の長さぐらいは動けることなど、ミミズの生態を知ることができます。また、私が小さい時にたくさん集めていた思い出のあるダンゴムシ。(今思えばなんてかわいそうなことをしてしまっていたのだろうと思いますが。)その時はダンゴムシは丸くなるという生態しか知りませんでした。でも『ぼく、だんごむし』(かがくのとも)の中には、コンクリートや石を食べないとうまく育たないこと、何回も脱皮をすること、水の中でも少しの間であれば平気なことなど詳しく書かれています。このような絵本との出会いや、子どもたちとの生活を通してそれまでとは違った感情が生まれ、なんだかとてもすごい生き物なんだとちょっと尊敬したり、驚いたり・・・。虫探しをしている子どもたちにもどんな場所がすきなのか、何を食べて生活をしているのかなど少しだけ生き物の生態を伝えられるようになりました。子どもたちも生き物との付き合いが少しずつ変わってきて、自分たちで本や図鑑などを調べて飼育の仕方を知り、必要なものを集めてクラスで飼育する姿もみられるようになりました。大人はついつい“かわいそうだから逃がしてあげようか”と言ってしまいそうになりますが・・・。もちろん飼育していく中で、死んでしまうこともあります。しかし、生命の誕生や終わりといったことに遭遇することは、子どもたちが命あるものとして付き合い様々な感情がうまれる大切なひとつの経験だと思います。

 虫が苦手な方もいるかと思います。わたしも実は虫が苦手で毎日どんな虫と出会うのかドキドキしています。でも、私たち大人も子どもたちと観察したり、図鑑を見たり、共感したりと同じ目線で生き物と少しの時間を向き合うことはできます。幼いこの時期に生き物や自然と豊かな出会い、生命の営みやその不思議さをたくさん体験してほしいと思います。

 身近にあるものに心動かされて・関わって・親しんで、育っていく【2017.6月】

認定こども園オリーブの木主幹保育教諭  渡辺 美津子

 

 初夏の自然に触れて、きらきらと眩しい木々や草花に負けないくらいに瞳を輝かし、心を動かしている子がそこに、ここに、見つかります。保育者の記録(週案)にも、子どもたちの今の姿がいきいきと書かれていました。自然に親しんでいた姿を中心に少し紹介したいと思います。子どもたちの姿を伝え合う会話の中から、というものもあります。

*園庭に小さな虫発見!~【今、虫探しをしようという声が盛ん。発見したミミズを見て「ヘビがいた!」と、友だちに興奮気味に教えていた。】【大きいだんごむしを見つけると怖がる。でも丸まっていると大丈夫みたい。とても気になる存在のようで、毎日探している。】【覚えたばかりのだんごむしのことを「だんごみし」と、教える姿が微笑ましい。】【今はアリが大好き。他の遊びをしていても、アリを見つけると必ず手を止めて「アリいた!」と、指差し確認!】

*毎年花を見せてくれる藤の下で~【藤の花が満開で、匂いをかぎ、触れていた。花にミツバチがとまっているのを見て「何してるの?休憩してるの?」と、そっと話しかけていた。】【「ぶどうだね!」と、自信をもって教えてくれた。】

*草花・水遊びが始まって~【バケツで水を運ぶことが上手になってきた。カップに水を汲んでジュース屋が始まる。砂と水を混ぜて「コーヒーです」と見立てたり、花やクローバーを浮かべたかわいいジュースもあった。友だちと同じものを作ったり「どうぞ」と、手渡しては微笑み合っていた。】【たんぽぽの綿毛を沢山見つけて、わらべうたと共に「フ~」と飛ばしていた。歌があると楽しさがさらに増して、わらべうたのリズム、音階が心地よくて良かった。わらべうた、まだ知らないものもあるので覚えたいと思う。】

*抱っこで散歩~【0歳児を抱っこをして歩いていると、木々や周りの子どもたちをじ~っと見つめる。「~だね」と語りかけると「あ!」と指差し、また見つめていた。今日はニワトリの近くまで行った。初めてのニワトリに、今日一番驚いたようで目をまんまるにして見つめる姿があった。】

 子どもたちのワクワク・ドキドキ・嬉しい・楽しい・面白い・不思議・驚き~(他にもいっぱい!)感が伝わってきて、様子を見ていて、聞いていて、読んでいて、私の心も動かされました。きっと、お父さん・お母さんもお子さんと一緒に過ごしている時に心動かされる瞬間に沢山出逢われているのだろう、と想像します。一緒に笑ってしまったり、不思議に感じたり、面白がったり、時には大人になってしまった私たちに予測できないような驚きが起こることもあるかもしれませんね。お子さんと一緒に共有できる時間は、なんて素敵で、貴重で、平和であたたかい時間…目に見えない、神様からの贈りものなのかもしれない~と感じました。心あたたまる時間や驚きの?!エピソードを発見・体験したら、ぜひ私たちにもお話ししていただけたら…嬉しいです。 最後に、エピソードにあった「たんぽぽ」のわらべうたを…

    ♪たんぽぽ たんぽぽ む~こうやまに と~んでけ~♪ (うたったら、フ~と綿毛をとばします♪)

 「歌」・・・心のつながり、世代のつながり【2017.5月】

認定こども園オリーブの木 副園長  有馬 仁美

 

 子どもたちとの園生活の中で、私自身が楽しんでいることは「歌」です。

0~2歳児では、機嫌が良く楽しい気持ちでいる子どもと一緒にいる時は心がうきうきするような楽しい歌を、眠くてぐずぐずとしているような子どもと一緒にいる時は静かでゆったりとした歌を、ちょっと寂しい思いをしている子どもと一緒にいる時は慰めになるような歌を・・・子どもを抱っこやおんぶをしながら語りかけるように歌っていると、私自身も子どもと同じ気持ちを感じているような気になって、楽しくなったり、眠たくなったり、心細いけれど大丈夫だよと自分に言い聞かせたりすることもあります。

3~5歳児のクラスからはさんびかや季節の歌を歌う声が聞こえてきて、私の心が元気になっていくのを感じます。また、子どもたちと一緒に歌を歌う機会があると、子どもたちは表情豊かに体を自由に動かしながら、大げさかもしれませんが「今を精一杯生きているよ~」と表現をしているようで、一日一日を大切にすることを教えてもらっています。

 さて、子どもたちとの生活では、私自身も子どもの頃に歌っていたものがたくさんあります。子どもの頃に何気なく歌っていたものの中には、今では作者のこと、作られた背景や作者の思いなどを知ることができ、自分の中で意味のあるものとなっています。そのことが毎日の生活の中で活かされたり、生きていく上でのヒントになったり、私の中では「歌」は希望そのものでしょうか。だからこそ子どもたちとの日常の中で、自分が子どもの頃に親しんだ素敵な歌の数々を自然なかたちで受け継いでいきたい、そして子どもたちが大人になった時、自分たちが子どもの頃に楽しんだ歌の数々を、次の世代へと受け継いでいくことを大切にしてほしいなと思っています。

 「ドレミのうた」は皆さんご存知でしょう。子どもたちも大好きですね。二週間ほど前、この歌の日本語歌詞を作り歌っていた歌手のペギー葉山さんが亡くなったことを知りました。私の母がペギー葉山さんの歌を好きだったこともあり、子どもの頃の私もよく聴いていたのを思い出します。突然の訃報に寂しさを感じながらも便利なインターネットを利用していろいろと調べてみると、私にとって「ドレミのうた」が大切な歌になりました。そして、歌えば元気がみなぎる「ドレミのうた」を、これからも子どもたちと一緒に楽しんで歌い続けていこうと心に決めたのでした。

 

  「 こころ動かして・・感動と不思議を大切に  」【2017.4月】

栄光学園 理事長  太田 春夫

 

 2017年度を迎えました。ご入園・ご進級、おめでとうございます。新しい子どもたちを迎えて、栄光学園に属するそれぞれのこども園の歩みが始まります。

 さて、春の訪れとともに、キリスト教の暦では全世界で「イースター」を迎える準備が進められています。今年は4月16日がイースターになります。イースターは「復活祭」とも呼ばれている、キリスト教では最も大切な祝祭の日曜日です。

それは主イエスさまが、「十字架の死」から甦り、復活して、弟子達の前に現れてくださった日です。信仰的には、私たちの罪を赦し、新しく生きる希望を与えてくださり、再び立ち上がって、ともに前に進んでくださることを感謝し喜ぶ日です。そのイースターは、命の芽吹きや希望の春の訪れを感じさせてくれるものでもあります。

 ところで、福音館書店元会長・松居直先生から教えて頂いた素敵な絵本があります。それは出版されてから今年がちょうど50年目になる『はなを くんくん』です。ルース・クラウスという方が文章を書き、マーク・サイモントという方が柔らかなタッチの、モノトーンの絵を描いています。訳は、きじまはじめさんという方ですが、森の中の動物たちがそろってあることに気づきます。そして雪の森の中で「ねむってるよ」「はなをくんくん」等の繰り返される言葉のフレーズが、子どもたちを笑いと興奮に誘います。

 この絵本は最初からずっと白と黒の冬の雪の世界が描かれて行きますが、14ページ目になって初めてあるものが描かれます。それには「色」がつけられています。その色はいったい何でしょう。是非お子さんと実際に確かめて頂きたいと思います。

 松居先生は「この絵本は、科学の絵本です」と教えてくださいました。そして科学絵本で一番大切なことは、「驚くこと、感動すること、不思議を感じること」ができるかどうかであると話してくださったのです。

 こども園では、新しいお友だちを迎えて、新しい日々が始まります。子どもたちの命の躍動に感動し、共に神さまから生かされている者として、こころを動かし、不思議と驚きを大切に、新しい1年を始めて行きたいと願っています。

 2017年度、栄光学園に連なる全ての子どもたちとご家庭の皆さま、スタッフの上に、主イエス・キリストのお恵みと神さまの祝福が豊かにありますようにお祈りいたします。

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